大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(ツ)39号 判決

原判決は、一旦有効にされた登記は法定の消滅事由が生じない限りその効力を持続するものであるところ、本件建物(原判決のいわゆる旧建物)についての被上告人の所有権保存登記が、消えてしまつたのは、登記簿と家屋台帳の一元化作業実施の際における登記官吏の過誤によるものであり、これは右の法定の消滅事由にはあたらないという理論を根拠として、また、本件建物についての被上告人の所有権保存登記がされている旧登記用紙を新表題部の登記用紙すなわち新登記用紙に合綴するなどの措置がとられなかつたことによつて被上告人が一旦えた登記による借地権の対抗力が消滅してしまうことになると、被上告人は自己の関与しない事由によつて損失をこうむることになるし、一方、上告人は、閉鎖登記簿、新らたに作成された新表題部の記載を閲覧することによつて、被上告人の所有権保存登記があつたこと、被上告人が本件建物の所有者であることを知ることができないわけでなく、したがつて仮りに被上告人の所有権保存登記が新登記用紙の方に移らないままでその登記による借地権の対抗力が存続することになつても、つねに不測の損害をこうむるともいえないという実際上の点をも考えにいれて、被上告人が本件建物につき所有権保存登記をもつていたことによる借地権の対抗力は、前記新登記用紙の方に右保存登記が移されなくても存続するものとすべきであると判断したのであり、この判断は是認することができる。このように解すると、地上建物について登記がないと思つてその敷地を買い受けた者が思わぬ損害をこうむるということが起るかもしれない。しかし、登記官吏の過誤によつて所有権保存登記を落とされてしまつた建物所有者の立場を考え、なお右の土地を買おうとする者も、不完全ながら、閉鎖登記簿等をたよりに、従前、建物につき所有権保存登記があつたこと、被上告人が右建物の所有権者であることを知ることができないわけでないことを考えると、土地を買い受ける者が思わぬ損害をこうむることがあつても、それはやむをえないこととしなければならない。論旨は理由がない。

(新村 中田 蕪山)

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